悦楽のココチャ、魚介の炭火焼なら「ELKANO」

世界一周にはじめて成功した人は?と聞かれたら、ほとんどの人は「マゼラン」と答えるに違いない。スペイン・バスク地方の港町ゲダリアを訪れるまでは、私もそう思っていた。 
実際は、マゼランは途中のフィリピンで殺されてしまい、残りの部下を率いてスペインに帰還したエルカノ船長が、世界一周を達成した最初の人物らしい。 
サンセバスティアンから車で約30分のゲダリアは、エルカノ船長の出身地。広場には彼の銅像が立ち、「ELKANO(エルカノ)」という名のレストランまである。このレストランは、魚介の炭火焼がおいしいことで有名。バスク地方の魚介料理を堪能したいなら、ぜひ訪れたいお店だ。

白と黄色を貴重とした開放感のある店内。予約した13時の時点ではガラガラで、「評判は聞いていたけれど、このお店は大丈夫なのか……」と思いきや、食事を終えた15時頃には満席。あらためて日本とスペインの食事時間の違いを実感する。

いろいろと食べたなかで、衝撃をうけたのは、バスクの珍味「ココチャ」。メルルーサやタラのあご肉らしい。 
フライ/グリル/グリーンソース(サルサヴェルデ)の3種類の食べ方で頂く。食感がなんともはやエロティックで、牡蠣のようなプリプリ感とゼラチン質のなめらかさが、舌に蕩けていくよう。この後数回ココチャを食べたけれど、ここのココチャが個人的にはNo.1だった。


それからここの名物料理カレイ。淡白な日本のカレイとはまるで別物で、肉付きがよく厚みがあり、脂がしっかりのった芳醇な味わい。


シンプルな海老のグリルも、もうそれだけで、うなるほど美味。


ワインもリーズナブルで、シャンパーニュリストも充実。ビルカール・サルモンやエグリ・ウーリエ、ローランペリエ、リュイナールなどメジャーどころが並ぶ。何かボトル1本開けて、ゆるく愉しむことに。

選んだのは、Parxetの「TITIANA Brut PANSA BLANCA 2010」。シャンパンと迷って、せっかくスペインにきたのだから、とCAVAを選んだ。
この造り手の「Cuvee 21 Brut」はコスパ最強CAVAの代表選手としてよく飲んでいるが、ミレジメは初めて。しかもボトルで48€とお手頃(それでもCAVAのリストで2番目に高い)、スペイン、なんて良い国なんだろう……。


白いラベルに、カラフルな積み木を並べたような文字が、キュート。泡はきめ細かく、枇杷や柑橘〜白桃のニュアンス。すっきりとしつつ、後半にかけてふくよかさも出てきて、脂ののった魚介のグリルにもマッチ。気取らないけど上質なCAVAは、このレストランの雰囲気にしっくりくる。


そうそう、お腹に余裕があればぜひデザートを。このキャラメリゼされたフレンチトーストも、罪の味……。いいの、バカンスなんだから、ダイエットは帰国してから、とぱくぱく。

お店の裏では、おおきなカレイが、今まさに炭火でグリルされているところ。
お肉がなくても満足・満腹、わざわざ来て良かった、と思えるすてきなお店だった。