王者の品格、TORRESワイナリー

サンセバスティアンで美食を満喫したあとは、電車でバルセロナへ移動。 
バルセロナ周辺でやりたかったことといえば、フィゲラスのダリ美術館に行くこと、世界遺産のカタルーニャ音楽堂でフラメンコを見ること、街歩き。サンセバスティアンでの怒濤のレストランめぐりと打って変わってゆったりとしたスケジュールだったので、日帰りでワイナリーに行くことにした。

向かったのは、スペインを代表する老舗ワイナリーTORRES(トーレス)社。バルセロナからワイナリーの最寄り駅まで電車で約1時間、ワイナリーはそこから車で5分ほどと、アクセスも悪くない。このあたりにはCAVAのワイナリーが集中しており、車窓からはフレシネ社の大きい建物が見えた。今回は1ワイナリーのみ見学するツアーに参加したが、ワイナリー・ホッピングツアーも多数組まれている。

抜けるような青い空。 
比較的涼しく過ごしやすかったバスク地方と違って、この辺りはかなり暑い。

トーレス社は資本力が大きいだけに、設備もりっぱで、ワインツーリズムがさかん。

まずはメルローの畑をみせてもらう。その後は、噂にきいていたトロッコ列車で広大なワイナリー内をぐるりと見学。

ワイン貯蔵庫に入る時は、謎の鳥の鳴き声などの効果音も聞こえてきて、まるで遊園地のアトラクションのよう。そこから何万樽ものワイン樽がずらりと貯蔵されている様子が見える。

さらに進むと、ワインの瓶詰エリア(もちろん自動)、瓶詰後のワインボトルの巨大貯蔵庫が現れる。その光景を見ていると、「ああ、(勝沼ダイヤモンド酒造の)吉男さんのところでは手作業でコルクの打線やラベル張りしたよなぁ……」などと思い出し、あらためてワイナリーの規模の大きさを実感する。
受付をしたワイナリーの建物はもちろん、貯蔵庫も清潔で衛生管理がいきとどいた印象。

ワイナリー設備を見学した後は、オーナーの奥様の名がついたおしゃれな建物「WALTRAUD」の中を案内してもらった。有名建築家がデザインしたという建物にはスタイリッシュな機能美がきらりと光る。天井のコルクは断熱材の役割も果たしており、夏は涼しく冬は暖かいという。

おまちかねの試飲タイム。ツアーにデフォルトで付いているのは2種類のみだが、試してみたいものが色々あり、結局9種類試飲。「こんなに試飲した人ははじめて!」とお褒めの(?)言葉を頂いた。

試飲用のボトルは、ずらりと目の前に置かれたままになっていたので、ワインボトルの写真を撮っていると、ガイドさんがぽつり。 
「これがチャイニーズだったら、ボトルはすぐしまっちゃうのよ。彼ら、勝手にボトルからワインを飲み始めちゃうの」。
……うっかりほんのちょっぴり残っていたワインを注ぎだすところだった。危ない、危ない。




一番好みだった「WALTRAUD」のリースリングは主張が強すぎず、するする1本飲めそうな綺麗なリースリング。和食にも寄り添ってくれそう、と購入決定。そのほかフラッグシップの「Mas La Plana」など3本お持ち帰り。

巨大ワイナリーというと、量産型=飛び抜けて心に残らない、という印象があったが、今回訪れてみてイメージが変わった。減農薬を意識した栽培、清潔な環境でのワイン管理、何より”規模の経済”を活用した品質と価格のバランスの良さ。さすがにスペイン屈指のワイナリー、すっかり印象が良くなった。

今回のツアーは一般客向けなので、説明の内容も、さらりとしたものだったけれど、バルセロナから日帰りで行ける観光名所として気軽に愉しむには、おすすめのワイナリー。

Torres