サンニオプレスツアー3日目のテーマは、Sannio DOC。
この日は、アリアニコとファランギーナ以外の地品種をまとめてテイスティングしました。
まずは白ぶどう。
・コーダ・ディ・ヴォルぺ
コーダ・ディ・ヴォルぺは、サンニオ地方とお隣のイルピニア地方で栽培されている白ぶどうの地品種。「キツネのしっぽ」という名前の由来は、房が細長いことから来ているそう。糖度は高く酸は控えめで、リンゴやパイナップル、オレンジ、桃、ハーブなどの香りと余韻の塩味が特徴となります。
・グレコ
グレコはベスヴィオ火山の麓で多く栽培されている白ぶどうで、イルピニア地方のGreco di Tufo DOCGが有名。火山性土壌や石灰岩土壌に向き、収穫は遅く収量が低くなりがちですが、長熟なワインも造れるポテンシャルの高い品種。品種の特徴としては、リンゴやミモザの花、オレンジ、蜂蜜に、アーモンド香、そしてほんのり塩気と苦味。フィアーノがドライナッツだとすると、こちらはよりフレッシュなグリーンアーモンド。サンニオ地方で造ると、イルピニア地方のワインに比べ柔らかい味わいになるそう。
・フィアーノ
火山性と粘土質土壌で花開き、標高が高い土地を好むフィアーノ。標高が高いイルピニア地方アヴェリーノ地区のフィアーノはDOCG(Fiano di Avellino DOCG)に認められています。生産量が非常に低くなるのが難点で、サンニオ地方での栽培はそこまで多くありません。こちらもグレコ同様、サンニオ地方のフィアーノは、Fiano di Avellino DOCGに比べると柔らかいスタイルになるそう。
アーモンド、ヘーゼルナッツの香りにフレッシュでエレガントな酒質。口に含むと、本当にフレッシュなくるみのような香ばしいフレーバーがするのが面白いです。
黒ぶどうとして押さえるべきは、ピエディロッソとカマイオーラ。
・ピエディロッソ
ピエディロッソは現地での栽培が難しく、収量は少なくなる「厄介なぶどう」。アリアニコとブレンドすることもあるの?聞くと、「ピエディロッソは宝のようなものだから、ブレンドはしない」という生産者も。
(左がピエディロッソ、右がバルベーラ。色が淡いのがわかります)
赤果実と胡椒の香りがあり、アリアニコよりもフレッシュなワインになります。試飲したワインは、フルーツ以外に腐葉土や野性的な香り、余韻に青っぽさや塩味を感じました。酸味は高いのですが、渋みが少なく不思議な印象のワインでした。
・バルベーラ
興味深かったのがバルベーラと表示されたワイン(正式名称はカマイオーラ)。これはピエモンテ州のバルベーラとは全くの別物。なんでも昔、アメリカのペンシルヴァニア州に引っ越したワイン生産者が、当時有名だったバルベーラワインにあやかって、カマイオーラを「バルベーラ」と呼び始めたそう…。ただ「バルベーラ」という名称は混乱を招くので、「カマイオーラ」に統一する動きが進めばよいなぁ。
赤い果物やスミレ、薔薇のアロマ。アントシアニンが多くワインは濃い紫色。若いときに飲んだ方が魅力を発揮するワインだそう。確かに酸はそこそこあるのですが、渋みがほとんどないのが不思議。個人的には、ランブルスコみたいに赤のスパークリングにしたら面白そう!
(今回のツアーでレクチャーをしてくれたジャーナリストのPasquale Carlo氏と)
なかなかカンパーニャ州の地品種をじっくりテイスティングする機会もないので、貴重な体験になりました。
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