サンニオ地方のDOCG、アリアニコ・デル・タブルノ

食・ワイン

サンニオ地方が誇る黒ブドウ品種の花形選手といえばアリアニコ。「南のバローロ」などと呼ばれ、南イタリアの品種の中では存在感を放っているものの、実はあまり飲む機会はないのではないでしょうか。

アリアニコから造られるDOCGはイタリアに実は3つあります。

・Taurasi DOCG(カンパーニャ州)
・Aglianico del Taburno DOCG(カンパーニャ州)☜今ここ
・Aglianico del Vulture Superiore DOCG(バジリカータ州)

この中でロゼの生産が認められているのはサンニオ地方のアリアニコ・デル・タブルノDOCGのみ。イタリア全国で初のロゼのDOCGでもあります。サクランボや薔薇、胡椒などの香りが特徴。

右のロゼはアルコール14%!スパイシー&フルボディで、赤ワインみたいなロゼ。
まさしく「山のロゼ」で、お肉にも合います。

そして特筆すべきは、この3地方のアリアニコの違い。同じアリアニコ種といっても微妙に特性が異なるのです。

その要因にはもちろん様々な要素が絡み合っていると思いますが、大きい点としては土壌の違いとバイオタイプの違い。
まず土壌でいうと、すべて火山性土壌がベースにありながら、タウラジは石灰質土壌、タブルノは粘土質土壌、ヴルチュレは火山性土壌の影響が強いとのこと。

そして、バイオタイプ。バイオタイプとは、分類では同一種(この場合アリアニコ)でも、生物学的性質が異なる系統のこと。例えばタウラジのアリアニコは、房と果粒がやや小さいそうで、ワインにすると凝縮感が強くなるのも納得です。

(ベスビオ火山から飛んできた火山灰を含む粘土石灰土壌)

まとめると、味わい的にはタウラジ=酸、タンニンが強く非常に長熟かつエレガント。タブルノ=比較的柔らかなタンニンを持ち、早くからも楽しめるスタイル。ヴルトュレ=果実味、ミネラル感が強くマッチョ。
味わいのバランスが整いやすいのはタブルノ>ヴルトュレ>タウラジといえるでしょう。

実はこれはタブルノの大きな魅力!いくら偉大なワインでも、開けるタイミングが難しいと使いにくいですもん。他2つに比べて知名度が低い分、タブルノのワインは比較的リーズナブルでもあるので、日常にも取り入れやすそうです。

ちなみにDOCGの規定ではヴルトュレはアリアニコ100%がマスト、タウラジとタブルノはアリアニコを85%以上に他品種をブレンドすることができますが、タブルノではアリアニコ100%で造る生産者が主流。トスカーナ地方など他のイタリアの生産地同様、地品種を大切にするという意識があるようです。

ある日の生産者との夕食にて「Fontanavecchia Aglianico del Taburno DOCG 2017」に合わせたのは、マルキジャーナ牛のステーキ。お肉は脂身が少なく淡泊ながら質感がとても柔らかく、アリアニコのきめ細やかでソフトなタンニンとよく合いました。

お肉と赤ワインを合わせるときには、質感を合わせるといい(例えば噛み応えのあるお肉には、タンニンのゴツゴツしたワイン、ジューシーなお肉には質感の柔らかいワイン)と常々考えているのですが、まさにその法則が当てはまる組み合わせだなぁと納得。

タブルノの魅力(使いやすさ)を発見できたのは今回のツアーの大きな収穫でした。ただ3DOCGを同時に飲み比べたことがないので、帰国してからタウラジとヴルトュレのワインをネットで購入。ワインの勉強仲間とまた議論してみようと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました