カンパーニャ州サンニオ地方のワイン

食・ワイン

一つの州が一国のような個性を持つイタリア。土着品種も多いだけに、イタリアワインを苦手にされている方も多いのではないでしょうか。

実は私もご多分にもれず、WSET Diplomaの勉強でも、イタリアは大の苦手分野でした。ピエモンテやトスカーナなど有名生産地こそ押さえるものの、南イタリアとなるともうお手上げ。葡萄品種を覚えるのも最後には諦めました…(苦笑)。

さて今回のテーマは、そんな私と縁がなかった南イタリアはカンパーニャ州のお話です。

そもそもイタリアを訪れるのも、大学時代に北の観光地を回って以来15年ぶり。南イタリアは初訪問なので、どんなワインに出会えるんだろう…とワクワクしながらの訪問でした。
本記事では、まずは今回訪れたサンニオ地方についてざっくりご紹介したいと思います。

(今回のツアーでサンニオ地方についてレクチャーしてくれたジャーナリストPasquale Carlo氏と)


■サンニオ地方ってどこ?

さてサンニオ地方。一体どこにあるのでしょう。日本では知名度が低く、ふつうは日本人観光客が訪れない”hidden gem”。私もサンニオワイン協会からプレスツアーのお話を頂いたとき、「サンニオってどこだろう?」と思ってしまいました(今は脳裏に刻み込まれております)。

カンパーニャ州というと、Taurasi、Greco di Tufo、Fiano di AvellinoといったDOCG3兄弟が集まるイルピニア地方が有名ですが、そのお隣にあるサンニオも上質なワインを産することで昔から有名でした。この地方を見守るタブルノ山の麓では7000年前からワイン造りが行われ、古代ローマ帝国にワインを供給していたそう。

中心地はナポリから内陸へ約50㎞、車で1時間ほどのべネヴェント。古代ローマ時代に敷設されたローマから南イタリアへ続くアッピア街道沿いの重要都市として栄えてきました。現在は人口6万人ほどのこじんまりとした都市ですが、猥雑なナポリの街に比べて町が清潔で落ち着いた印象でした。

世界遺産のサンタ・ソフィア教会や、サンニオ博物館もあります。美術館には古代ローマ時代の貴重な遺跡がごろごろ。歴史や遺跡に興味がある方はぜひ訪れてみるといいと思います。

(美術館も見学したのですが、そのとき蚊に刺されまくって気が狂いそうなくらい痒かったので、写真が1枚しかありません)

 

■地形と気候

さて、サンニオ地方のワイナリーへはバンで移動していたのですが、車窓から見えるのは、のどかな山の風景。サンニオ地方の象徴でもあるタブルノ山が鎮座ましまし、どこへ行くにも我々を見守っています。葡萄畑はそのタブルノ山のふもとを囲むように位置しています。

雨が適度に降りベト病も問題になるため、有機栽培は難易度が高いそう。南イタリア=太陽さんさん=病気とは無縁なイメージだったので意外でした。

(2001年から有機認証を取得している Fattoria La Rivoltaにて)

晩熟品種であるアリアニコは日当たりと風通しのいい斜面、ファランギーナは平地や標高の低いところ、などと品種によって植え分けするようです。

こちらは標高900m、タブルノ山の真下にあるMasseria Frattasi。周囲に森を多く残しビオ栽培を行うなど、環境へ配慮したワイン造りにこだわっています。

敷地内に設置したソーラーパネルではワイナリー電力の100%を賄っているそう。強い日差しからの反射光で目を開けてられないくらい眩しかったです。

山の気候というと涼しいかなと思いきや、9月中旬はまだまだ暑く、昼は半袖、夜は長袖シャツくらいが心地良い程度。事前に夜間は10度台後半まで下がると聞いていたのでジャケットや薄めのセーターを持って行ったのですが、まったく出番がありませんでした。

 

■主要品種と主なDOC

  • アリアニコとAglianico del Taburno DOCG

土着品種のオンパレード・イタリアの例にもれず、サンニオ地方もメインは土着品種です。
まずはこの地方の花形品種が、黒葡萄のアリアニコ。こちらは別記事にする予定ですが、南イタリアではとても重要な品種。ネッビオーロやサンジョベーゼなどと並んで長熟なワインを産むポテンシャルのある葡萄です。「南イタリアのバローロ」とも称されるTaurasi(タウラジ)DOCGやAglianico del Vulture Superiore(アリアニコ・デル・ヴルチュレ・スペリオーレ) DOCGが有名ですが、サンニオ地方のアリアニコから造られるAglianico del Taburno(アリアニコ・デル・タブルノ)も立派なDOCG。地元の生産者は誇りにしています。

  • ファランギーナとFalanghina del Sannio DOC

白の代表選手は、ファランギーナ。なんと全世界の85%をここサンニオ地方が生産しているという、サンニオ地方が誇る白葡萄です。生産者との食事の席では、「とりあえずビール」ならぬ「とりあえずファランギーナ」といった感じでワインが供されました。

スパークリングワインから白ワイン、甘口ワインにもなる万能な品種で、Falanghina del Sannio(ファランギーナ・デル・サンニオ)がDOCとして認められています。こちらも別記事にて。

  • その他の地品種とSannio DOC

その他、土着品種として大事なのは白葡萄のグレコ、フィアーノ、コーダ・ディ・ヴォルぺ、黒葡萄のピエディロッソ、カマイオーラなどがあります。こちらは広域のSannio DOCとしてワインにすることができます。サンニオDOCはかつて多数存在していたDOCを統合したため、DOCワインに使える葡萄品種も多く、バリエーションがとにかく広いのが特徴。
Aglianico del Taburno DOCGやFalanghina del Sannio DOCから漏れたものは、とりあえずサンニオDOCが広い懐で受け止めてくれる、といったイメージです。こちらも別記事にします!

 

とりあえず今日はここまで~。

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