メメント・モリ

手にとるたびに響くところが変わる本は、一生手元においておきたい。

私にとって『ルバイヤート』がそうだが、悲しいかな開くのはたいてい虚無におちたときだ。

ルバイヤート (岩波文庫 赤 783-1)

この夜響いた詩は二篇。

朝風に薔薇の蕾はほころび、
鶯も花の色香に酔い心地。
お前もしばしその下蔭で憩えよ。
そら、花は土から咲いて土に散る。

この詩は一足先に逝った彼女に。

そして残された私には……

人生はその日その夜を嘆きのうちに
すごすような人にはもったいない。
君の器が砕けて土に散らぬまえに、
君は器の酒のめよ、琴のしらべに!

それができたら苦労しないよ、とツッコミつつ。

『ルバイヤート』(オマル・ハイヤーム著、小川 亮作訳)より