この夏印象に残った試飲会、ブラインドで甲州30種を試飲

ワインの試飲会(プロ向け)でのマナーが問題になっている。
香りがするものをつけない、酔っぱらって騒がない、試飲スペースの前を占領しない、自分で注ぐスタイルのときは必要最低限の量を、など基本的なことなのだが、お酒という魔物を扱う以上、バッカスさまに身をのっとられると、意外とまわりも自分もみえなくなったりする。

かくいうわたしも試飲会いきはじめのころは、何百種類という未知のワインを前にテンションが上がってしまい、騒がないまでも「やけに楽しそうね」とちくり刺されることも多々。きっと、周りからは「仕事の場なのに……」と厳しい目で見られていたに違いない。

プロ向けの試飲会では無料のことが多いが、最近では参加費を設定しているところもあり、わたしはその流れには賛成。来客が「とりあえず顔だしておくか」ではなく、意欲をもった層に絞られるし、ひとは身銭をきると、なにかを学ぼうと必死になるものだ(まぁ、経費で落とすにしても、ビジネス感覚として)。

今年の夏にいった試飲会でいちばん印象的だったのは、なんといってもいまでやさん主催の試飲会である。日本ワインの取扱いが豊富なのと、眩しいくらいの情熱をもった年下のワイン友達が入社した、というのでますます親しみをもっている酒屋さんである。

印象に残った試飲会は、2つある。
ひとつは、甲州のみを集めた、しかもブラインド形式の試飲会。もうひとつは、北海道の平川ワイナリーの平川さんをまねいてのセミナー(後者はまた別記事にて)。

甲州のブラインド試飲会は、おもしろかった。
そもそもワインは、「なにを飲んでいるか」によって評価がかなり左右される、という実験結果があるらしい。それこそ平川さんのセミナーのなかできいた話で、「シャトー・マルゴー」と「クリュ・ブルジョワ」、2つをブラインドで点数評価する(ただし両者の中身は同じワイン)。さて結果はどうか。同じワインであるのに、点数には差が出た。「こちらがマルゴーだろう」などと脳内変換が起こるからだ。あー、やだね人間って。と思ってしまうが、たぶん実際にやってみたら、自分だって、そうなのだろう。
もちろん、ラベルもワインの一部だから、ラグジュアリーなワインやシャンパーニュをボトルを見ながら、その雰囲気を楽しむ、というのもひとつの楽しみ方である。
でも、ワイン本来の品質を評価する場面において、先入観は邪魔なだけ。それをとっぱらったうえでの、ほんとうのワイン自身と向き合う、という意味でもこの試飲会は有意義なものだった。

30種類の甲州が集まり、ホイルに包まれた状態で並んでいた。そもそもひとつの品種のみを30種類飲み比べる、というのも貴重な機会である。
順に試飲していくのだが、やはり通常の試飲会の何倍もの集中力がいる。なにより、フェアに向き合っている、という気持のいい感覚があった。

すべてを試飲したあと、ワインリストを受け取り、自分の感想を照らし合わせたところで、また発見がある。好きだ、と感じた甲州が、いままでノーマークのものだったり、でも普段よくのむワインには「慣れ親しんだ味◎」と書かれてて、自分の味覚に安心したり(この個人の嗜好とも、客観視してつきあわなければいけない)。

最後に「甲州らしいワイン」「好きな甲州」のアンケートに答えて、後日そのアンケート結果が見られる、というのも、おもしろい試み。なにをもって甲州らしいとするかはっきり定義はなくても、アンケート結果から感じとれる。

今週はじめ(2016.10.17)に放送された「クローズアップ現代+」でも日本ワインが特集されていたが、世界で戦える日本ワイン、その主戦力である甲州を考えるヒントになるアンケート結果だと、改めて見返している。

いまでやさんの試飲会速報レポートはこちら

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