北海道の注目ワイン、平川ワイナリー

北海道余市にある平川ワイナリーのワインをはじめて飲んだのは、自由が丘のイタリアン「mondo」でのお昼どき。稚鮎のフリットと「平川敦雄ケルナー2015」のペアリングがあまりに絶妙で、自分のなかの”甲州×鮎=最強説”がゆらいだ瞬間でした。おまけにガストロノミックなレストランで日本ワインが出て来ることはまだ少ないから、大きなインパクトがありました。

そんな好印象もあって、楽しみに参加した、いまでやさん主催の平川ワイナリーのセミナー。


代表の平川敦雄さんは、ソムリエ出身。ホテル&レストランでのサービス歴25年というベテラン。髪の毛をぴっちりジェルで固めた風貌ときびきびとした佇まいは、まさにホテルマンのイメージそのもの。話すスピードは、私の倍速はありそう(笑) 
かたやボルドー大学醸造学部を首席で卒業、綺羅星のような名門ワイナリーでワイン醸造に携わってきたワインづくりのキャリアもお持ち(詳細プロフィールはこちら)。

セミナーの内容は、シャトーマルゴーやペトリュスと北海道(鶴沼ワイナリー)の土壌比較、味覚分析の話など。マニアックだけど、専門的で勉強になる内容。ワインづくりへの情熱は相当なもので、収穫時期、使うブドウの部分までこだわっています。


試飲したのは、白ワイン2種、赤1種とスパークリング2種(シードル・ポワレ)計5種類。 

◆試飲リスト 
1. 藤城議ツヴァイゲルト2014 (赤) 
2. 平川敦雄ケルナー2013 (白) 
3. 平川ケルナーレジェールモンドゥー2013 (白) 
4. 藤城議シードルグランキュベ2015 (泡) 
5. 佐藤幸雄ポワレグランドキュベ2015 (泡)


面白かったのが、赤ワインから試飲したこと。 
「タンニンは白ワインの試飲の邪魔はしない、甘い余韻のあとに繊細なワインを飲むと、ワインが痩せて感じられてしまう」との理由で、試飲リストは繊細でミネラル感の強いもの・塩味を感じるものから順になっていました。いつも試飲会では泡→白→赤の順に試飲していたので、目から鱗!

レストランで感動した「平川敦雄ケルナー2013」はあらためて飲んでみても、澄んだ泉のように透明感があり、食欲をそそる高い酸と塩味、輪郭のはっきりした切れ味鋭い白ワイン。 
つぶ貝や帆立と絶妙の相性と平川さん。これ、お寿司に合わせたら最高だろうなぁ、と思わずじゅるり。

ほのかな甘口を意味する「レジェールモンドゥー」は遅摘みのニュアンスが明確で、ペトロール香も感じました。「甘みで始まり酸味で終るタイプのワインを目指した」と平川さん。これは優しいブルーチーズやシェーブル、白カビなどフロマージュと合わせたら美味しそう。

ツヴァイゲルトは瓶詰めしたばかりということで、確かにまだ固くて落ち着いていない感じはしたものの、今後が楽しみなポテンシャルの高さ。 なんと抜栓して1〜2週間は美味しい状態が続くそう。というのも、収穫時に痛んだブドウは粒単位でピンセットで取り除き(!)、ほぼ100%健全果から造ったワインだから。果実の凝縮感があるので、5〜10年は熟成すると平川さん。

微発泡のシードル(林檎が原料)やポワレ(洋梨が原料)もユニーク。ふじ100%のシードルはかなりドライで、はじめはやや還元気味でしたがすぐに還元香も飛び、香ばしい焼き栗やポップコーンの香りに変化。ポワレはシードルよりほのかに甘みのある辛口で、白い花の香りがはっきりと感じられアロマティック。 
いまようやくシードルの波がきているものの、まだブドウ以外の果実酒の市民権が低い日本。合わせる料理も悩むところですが、「ビールに合うものは大抵合う」そう。枝豆や漬け物にシードル……なんだかおしゃれ。レストランだったら、メインが終ってフロマージュのときにちょっと嗜むのにおすすめだとか。口のなかもさっぱりして、気持よくデセールにつながりそう。


ワイン全体に共通するのは、研ぎ澄まされ、洗練された味わい。ゆったりと寛ぎながら飲む、というよりはワインと真剣に向き合いたくなる緊張感がみなぎっています。 
「余市のテロワールをワインで表現したい」という平川さんですが、まさに余市という土地の冷涼さが透けて見えるワインでした。 
ただひとつ、難点は、価格だけ。これだけこだわって造っているのだから少量生産で高価格なのは仕方ないと思う気持と、やっぱり安くて手に入りやすい美味しいワインがいいっ!という消費者心理、どちらもよくわかるだけに、歯がゆいところです。


平川ワイナリーHPはこちら。HPもイメージどおり、スタイリッシュ。