さよなら、夏の陽。

食・ワイン

嵐が夏を道連れにして去っていったのか、同じように晴れても盛夏のころとは空気が変わったように感じる。 あーあ、夏休みがおわちゃった……。 
いまの私に夏休みも冬休みもないのに、こう呟いているわたしの気分は完全に小学生だ。 
というのも、先日実家に帰省したときに、クローゼットの奥底から小学生時代の日記や文集を見つけたからだ。
がり勉ばかりして「自分」がなかった小中学生時代は、灰色の靄につつまれたようにぼんやりとしているが、ページを繰ると、断片的な当時の記憶がよみがえってくる。

小3の夏休みの日記帳(ジャポニカ学習帳)には、起こった出来事が淡々と「ですます」調で記されているだけで、文才のかけらも感じられない。
しかも、8月30日と31日にその年の夏休みの出来事を10ページまとめて書いているのが微笑ましい(おかげで、後半どんどん字が乱れていく)。 

そこから日記は途絶え、小5の夏休みに再開。 

「今日は夏休み最初の日!!ドキドキ。胸が高なるぜ〜!」  なにやらテンション高めで、文体も変化している。まわりの影響かな。

「はーあ、くもんだ。でも一日中ごろづいてるのはよくないからしょうがない。くもんにいく前に27分くらいバトミントンをした」 やけに時間の感覚が細かい。

「しかしむねんなことに……」いまの口癖は、すでに小6の頃からつかっていることに笑った。でも漢字で書けていないのが、かわいい。

 

晩夏のノスタルジー。
アンニュイな秋もいいけど、自然と心がはずむ太陽の季節が好きだなあ。 夏派か冬派かの論争で、冬派のひとは必ず「冬は寒くても服を重ね着すればいいけど、夏はどうしようもできないでしょう!」という。
ううん、身体を縮こまらせて足早に歩くよりは、「あーづーいー」と汗を流して悶えるほうがいいもん。  

最後の夏を満喫しようと、食卓も未練がましく夏模様。

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八ヶ岳のトウモロコシを芯ごと炊いてトウモロコシごはん。  

炊きあがって芯を取り出すとき、もちろんそのまま捨てたりなんかしない。 ハフハフしながら芯にかぶりつき、わずかに残った粒の部分を食べるのがこのうえなく贅沢なのだ。


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和食のおともには、我が家でもよく登場する四恩醸造のスパークリングワインを開けた。

画題は、「夏の陽」。 四恩醸造のワインはすぐに飲んでもいいのだが、数年置いておくと印象が変わる。 なんというか、日本酒っぽくなるというか、ワインというよりは「これぞ日本の酒!」と呼びたくなる。
今回の「4023」は、すももやあんずやアプリコットなどの香りがして、第一印象は華やか。

飲んでみると、香りのイメージにたがわず、なんだか梅酒みたいな雰囲気がある。 熟したストーンフルーツの風味や酵母など、いろんな要素がまざりあい、うまみがつよい。このうまみが、芋の煮たのなど和食に合う。 むしろ、ワイン単体で飲むよりは、食中酒として飲むのがいい。 
 

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2年前の初夏、「夏の陽 2013」と「夏の陽 4023」が同時に発売されたときは、「ん?「4023?印刷間違いかな」と一瞬おもった。 ノン、こちらは2011年と2012年のアッサンブラージュ(混ぜたもの)。 つまり、2011+2012年=…という、ワインの方程式。
こういう発想がいいな。  

数本買っておいたものをぽんぽんあけて、気づけば最後の1本だった。 
2016年の夏にさよならの献杯。

 

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