「ワイン・テイスターがお勧めする甲州ワイン」

食・ワイン

注目の若手ソムリエール松木リエさんのお声がけで、甲州ワインテイスティングに参加してきました。
勝沼の新田商店、パパソロッテ坂口氏のご協力のもとセレクトした12種類の甲州ワインを、11名のテイスターがブラインドで評価、議論し1位から3位までを選出するというもの。

テイスターとして参加したのは、今回審査方法についてレクチャーしてくださったテイスト アンド ファンの沼田実先生をはじめ、WSET DiplomaホルダーやJWC(ジャパンワインチャレンジ)審査員経験者……私はDiploma受験生ということでお声がけいただいたのですが、「はーい参加しまーす」と軽く承諾した後、「やっぱり恐れ多いのでやめます」と本気で断ろうと思ったほど高いテイスティング能力と経験と情熱をお持ちの方々でした。

結果は興味深く(下記参照)、「市場に紹介したいワイン」として納得できるものが上位に選ばれましたが、今回の企画の焦点は、審査の過程について。

このような審査会でしばしば議論になるのは、審査方法や基準がどうなっているのか。例えば同じ18点をつけるにしても、個人の評価基準がバラバラだったとしたら、正当な評価となりうるのか。テーブルごとに審査員の意見をまとめる場合でも、どうして高い(低い)評価をしたのか議論せずに、なんとなく意見をすり合わせるだけでは、形だけの審査になってしまうのではないか。

そもそも品評会に興味がなく俺(私)の作りたいものを作る、飲みたいものを飲む、という意見もあるけれど、信頼のおけるジャッジの結果が、市場に対してメッセージ性を持つのもまた事実。そしてジャッジが信頼性をもつためには、信頼できる(=レベルの高い)審査員が参加していることが一番ではないでしょうか。 
実際さまざまな審査会に呼ばれることの多いリエさんが、ワインコンクールの審査ではどのように点数をつけているのか、評価基準を明確にしたい、と思ったことから、企画された会でした。


(会場は六本木のLe Coeur、扇谷まどかさんのお店)

今回は審査・議論に入る前に、JWCで2000年から審査員を続け、最優秀日本人審査員も受賞された沼田先生がしっかりとジャッジのポイントをレクチャーしてくださったので、初の試みにもかかわらず有意義で、信ぴょう性のある結果になったと思います。

テイスティング能力を鍛えるには、黙々と一人でテイスティングするよりも勉強会を作ること!と先輩方からよく聞きますが、今回このような勉強会に参加させていただいたことは、自分のなかでブレない評価軸を鍛える練習になりました。何より日本のワイン人として、甲州くらいはしっかり語れるようになりたい……(日本はもちろん世界のワイン人に、もっと知ってもらいたい!)という意味でも、あらためて甲州ワインと向き合ういい機会になりました。

以下、リエさんの投稿をシェアさせていただきます。

【ワイン・テイスターがお勧めする甲州ワイン】

JWCなどワインコンクールの審査ではどのように点数をつけているのか?

私自身ワインコンクールやワイン雑誌での点数評価をする機会が増えた今、もう一度評価基準の確認や実際にワインコンクールで賞を取っているワインの評価確認がしたく、WSET DiplomaホルダーもしくはDiplima受験生を中心にお声かけしました。

沼田先生のレクチャーとみんなの意見交換の後、12アイテムの甲州ワインを真剣にブラインドテイスティング。(新田商店の新田さん、パパソロッテの坂口さん、お忙しい中アドバイスくださりありがとうございました)
そして上位3アイテムを発表いたします!!

 

1位 Grace Koshu 2016
断トツにみんなの評価が高かったです😆

「抽出と酸のバランスがいい」
「酸化も還元のオフフレーバーも一切感じず、クリーンな香り」
「シトラス、オレンジの皮、洋ナシや白桃の香り」
「ナッツやビターな部分もありほどよい複雑性。果実味もしっかり残り、余韻が長い」

王道に勝るものなし…成熟度の高い甲州から造られたワインだと十分に伝わってきます。

2位 Ikeda Winery Select 2016
クリーンでクリアな造り方をされていて、自信を持って消費者にお勧めできるワインです😄

「非常に淡い色調」
「和柑橘、グリーンフルーツ、スイカズラの香り」
「酸と果実感のバランスもよく、優しい味わい」
「複雑性は一歩下がるが、苦味もなく、爽やかな酸味が長いフィニッシュへ続く」

3位 Chateau Mercian 山梨甲州 2015
コストパフォーマンスにおいては右に出るものはありません!!さすが、メルシャンさん😁

「シュールリーからくる複雑性が、高いレベルの酸とのバランスをとっている」
「還元的な要素は複雑性でカバー」
「クリーンで、柑橘やよく熟したリンゴ・洋ナシの香り」
「果実味のインテンシティとミネラル感のバランスがいい」

沼田先生のレクチャーがとっても勉強になったこと、真摯にワインに向かって意見の言える方々が集まってくれたこと、そしてなかなか甲乙つけ難い甲州ワインたちのおかげで非常に盛り上がった勉強会となりました。
大好評だったので、また何か企画しようかな。。

ご協力いただいた皆様、ありがとうございました🙇‍♀️



この日の着物はぶどうの帯と、インドで買ったショール。なんとなくシルクロード……。

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