毎日着物生活をめざすものとしては当然海外にも着物でいきたくなる。
着物はスーツケースで運んでピンポイントで着た方がラクそうだけど、それだと靴も洋服・和服用とふたつ必要だし、小物もかなりかさばる。ずっと着物で通したほうが荷物が少ないのではないか。
そこで心配になるのが移動だ。
洋服ですら足が破裂しそうに苦痛なフライト、着物で過ごせるのだろうか……
ちょうど4月に台湾にいく機会があったので近場で実験するにはちょうどよいや、と着物で行くことに。
お太鼓だとさすがに疲れそうなので座席にもたれても平気な半幅帯でかるた結びにしたら、たった3時間半程度のフライトなら全然大丈夫でした。
(眺望抜群、「紫艶」にて。偶然にも紫つながりのコーディネートに。)
謎の美容クリームを買いにいく途中、日本人観光客に話しかけられた。
「絽のお着物いいわね。私も着物好きだけど、さすがに海外に着物はきられないわ〜」。
え、なぜ。
ああ”高級”なお着物しかお持ちでないのね……。
なんだか、このやり取りをしていて違和感を感じてしまった。
着物ってそんなにありがたがって着るものなのだろうか。
つい最近も同じ違和感を感じたことがあった。
いくら拭いても汗の滴り落ちる夏日、たまたま時間がなくて洋服でいった先で、
「今日は着物きてこれなかったわ〜」というと
「こんな日に着たら、お着物が可哀想……」といわれたことがあった。
着物=高価、非日常のものと認識されているから、その気持もわかる。
誂えたてのいいお着物を眺めていると「もったいなくて着れない……」と私も思う。
だけどそれでは完全に着物に着られてないだろうか。
「きょうは少し涼しいので着てもよろしいでしょうかね」と着物の機嫌をとるみたいだ。
呉服屋さんのおかみさんは365日着物で年末の大掃除すら着物でやるそうだ。
昔の人もきっとそうだったはずだ。
どうせ着るなら暑くても思いきり涼しげに。
ありがたがって着るんじゃなくて粋に着たい。
そしてお手入れをしっかりとすればいい。
自戒も込めて……
夏のスペインには、浴衣をもっていこう。
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