リマの観光スポット「Astrid & Gaston」訪問

ランチで訪れた「Astrid & Gaston」系列のセビチェリア「La Mar」で海老ライスを食べ過ぎ、わたしはホテルで腹痛に苦しみ悶えていた。

「そういえば、七つの大罪のなかに、”暴食”ってあったよなぁ。あ、”強欲”も……欲深かったせいでばちがあたったんだ。これから気をつけるから、神様おねがい」と普段しない神頼みのおかげか、3時間後、腹痛も徐々におさまってきた。時計をみると、もうすぐディナーの時間である。「まずい……全然おなか、すいてない。」

しかも今夜のディナーは、あの「Astrid & Gaston」である。ペルー行きの機内でちょうどガストンのドキュメンタリー映画「ガストン・アクリオ料理の革命(レビューはこちら)」をみて気分は最高潮、もうこのために地球の裏側まできたといっていい。

「ま、アラカルトだし、なんとかなるかあ」とタクシーに乗り込み、ついにやってきた。

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堂々とそびえたつ美しい白亜の邸宅は、セレブの別荘のようである。「ここがアストリッド(奥さまの名前)とガストンの城かぁ…」と感激もひとしお。

階段を上がる。夜の闇と間接照明の光がとけ込むムーディーなテラスを抜け、店内に入ると、まず目に飛びこんできたのは天井から垂れ下がる植木鉢。なんというか、不思議な空間が広がっていた(思わずディズニーランドのジャングル・クルーズが頭に浮かんだ)。 

そして、目に飛び込んできたのは中国人の団体客である。「La Mar」でも世界中から客が押し寄せている、とおもったが、ここはさらに地元客より観光客の比率が高い。

メニューはアラカルトのみで、案の定見てもよくわからないので、ダーリンにおまかせする。

一番気になっていたのは、噂にきいていた「クイ」。ペルーで食用にされているテンジクネズミ(モルモットの原種)である。想像力豊かなひとは、それだけで気持が悪くなるだろう。

わたしも、「うわぁ、ネズミかぁ……」と正直気が進まなかったが、実際に運ばれてきた料理にネズミの原型はなく、みためはカットされた北京ダックのようである。
「これならいけそう」とぱくり。  うん、意外と、おいしいかも……。皮はパリパリと香ばしく、お肉はねっとりと舌にからみつく感じで、ちょっとエロティックですらある……。豚と鶏の中間のような、不思議な食感だった。

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今夜もペルーワインを試したい気分。ペルーワインはメニューに2種類しかなく、とりあえず、白赤どちらも頼んでみる。

シュナンブランは香りが控えめで、石灰のニュアンスがつよく、いわれなければミュスカデかと思ってしまう。ロゼ色の赤は、半甘口で、葡萄というよりベリー系の果物でつくったワインみたい(ベトナムのダラットワインをおもいだした)。
この赤ワインが、もうひとつメインに頼んだヤギとぴったり。香草をふんだんにつかった異国情緒たっぷりのソース、アクセントの無花果の甘さが、ワインの甘みとマッチして、今夜のマリアージュ大賞を勝手に授与。

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盛り上がったのは、デセールのボンバーチョコレート。  チョコレートの球体をスプーンでかち割ると、中からアイス、フルーツ、ナッツ、スポンジなどがお菓子箱みたいに飛び出してくれる。これはコンセプトとしては夢があるけど、赤いソースが散る様は、見た目にちょっと、グロテスクでもあった(だから写真はなしね)。

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昼に「La Mar」、夜に「Astrid & Gaston」という流れも、このうえなく贅沢で、面白い1日だった。
ただおそらく皆が最大級の期待を胸に向かうであろう「Astrid & Gaston」は、「ペルーのガストロノミーの最前線へいくぞ!」みたいな気合いの入れ方で勇んでいくと、ちょっと拍子抜けするかもしれない。別に悪い意味ではなく。

それは、お金持ち相手にフランス料理を出していた時代から、「国の象徴」「国民の誇りであり希望」としてのペルー料理へ転換した経緯があったことを考えると当然であり、このお店に感じた「頑張れば、手がとどくペルー料理」感は、とても納得がいくものだった。

(2016年3月訪問)