貪欲さへの決意、『アリスのままで』

DVDを店舗まで借りにいくのが面倒だから、TSUTAYAの宅配レンタルを利用している。
観たい映画をリストで登録しておくと、2枚ずつ家に送ってくれるサービスなのだが、この2枚の組み合わせが、妙につながりがあって嬉しくなることがある。

キャロル』の対で送られてきたのが、『アリスのままで』。

アリスのままで [DVD]

アリスとキャロル、っていう名前的なつながりもそうだし、この映画にもクリスマスの家族団欒シーンがあって、そこにもきゅん、となったのだけれど、本筋は映画の内容。

著名な言語学者として、妻として母として、仕事も家庭も全てを手に入れてきた主人公アリスが、50歳で若年アルツハイマーと診断され、徐々に自己を失っていく話。

……とまとめてしまうのは簡単だけど、そんな一言では、絶対に、まとめられない。

怖い。 
とにかく怖かった。 
自分が、積み重ねてきた歴史が、得体のしれないものに徐々に侵食され、削ぎ取られていく感覚、想像するだけで叫びたくなる。

「子育てに仕事にあっという間だったわ」 
「君は貪欲だった。全てを同時に求めた」 
「それが私。その方法が好き」


貪欲だったから、全てを手に入れてきたから、失うのも怖い?いやそうじゃないだろう。 
でもどうせ、いつ死ぬかわからないんだったら、貪欲に生きたい。生きた証を残したい。 
アリスの年齢まであと20年。何をなせるだろうか。いろいろ考えた。

いっぽうで、92歳まで長生きする気もする。

誰だって自分をそんな不幸が襲うなんて思わない。
まわりの人が病気にかかっても、事故にあっても、
心のどこかで「自分は大丈夫」と、根拠の無い自信をもてるのは、なんでなんだろう。

最後は泣けた。 
削ぎ取られてはぎ取られて、もう1ミリも残らない、その最後に残ったものを思うとき、涙が止まらなかった。