きのうご紹介した日経スタイル「シャンパン用グラス選びはアントワネット気分で」。
記事のなかでも少し触れていますが、クープグラスの美しさがよくわかる映画といえば、こちら。ソフィア・コッポラ監督の「マリー・アントワネット」。
画面を彩る花、ケーキ、シャンパン、ドレス。スピード感のあるショッピングシーン。 「あーん、一度はこんなゼータクしてみたいっ」と女ごころをくすぐる映画です。
パーティーシーンではもちろん、ドレスを品定めするときも、女友達とおしゃべりするときも、貴婦人の手には、常にクープグラス。
そして登場するのは、見事にシャンパンのみ。ボトルに目を凝らすと(←職業病)、まだコルクを押さえる王冠が開発されていなかったのでしょう、コルクが麻紐で固定されたタイプのシャンパンです。
先日の試飲会で見つけたChampagne J. De Telmontの最上キュヴェ「O.R.1735」は当時の名残を残し、紐で縛ったタイプでした。
グラスから離れて、ファッションに着目しても面白い。
アントワネットの衣装をみてみると、光沢のあるシャンパンゴールド、薄いブルー(緑)、ピンクがお気に入りの様子。
シャンパンゴールド=金髪、シャンパン
薄いブルー=ブルーの瞳
ピンク=唇、頬、ケーキ、苺
色彩でリンクする要素が鏤められているので、統一感があって美しい。
ベルサイユからトリアノンへ移住後、それまでのカラフル&ゴージャス系ドレスから、白系ナチュラルに移行するのも、生活スタイルの変化が服装で一目瞭然。
かたやルイ15世の妾デュ・バリー夫人は黒髪にダークな寒色系のドレスがメインで、毒々しい妖艶なオーラを放っています。
殿方の衣装でいえば、黒系の衣装は固いシーン(仕事や狩り)では着ているのですが、華やかなパーティーでは圧倒的にゴールド、シルバーなどの明るい色が多く、時代を感じる。それから約1世紀後に描かれたマネの「オペラ座の仮面舞踏会」(1873)なんて、黒の衣装ばっかりだもん。
終り方が中途半端だったり、突っ込みどころは多々あるけれど、贅沢な世界観が楽しめる映画。けっこう好き。見るのは2回目でした。
取材で試してすっかり気に入り、自宅用にも購入した木村硝子店のクープグラス。 華奢な脚に極めて薄い飲み口。見ているだけでうっとり。
映画を見ながらシャンパンを楽しんでいるところにダーリンが帰宅。
姫気分の私に向かって一言。
「えっ、何それ?昭和のオジさん?!」
……アントワネット気分、終了。
クープグラス=シャンパンタワー=バブルのイメージが、まだまだ一般的なのでしょうね。
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