空気を入れてくれるひと

「あ〜あ、またつまらないもの書いちゃった……」
〆切ぎりぎりまで粘ってもそれ以上どうにもならなくなり、原稿をついに提出するときは、いつもこんな気持ちである。

ああ、今回はどんなダメ出しをされるんだろう。

編集者さんから最初の感想がかえってくるまでの時間は、悪いことをして叱られる子どもみたいに、どきどきする。
しばらくしてメールが帰ってくる。すぐには開封ボタンを押したくないけれど、
「全然だめ。やり直し!(こんな直接的には言わない方だけれど)」といわれたら、あとで時間がなくなって苦しむのは自分だから、これまた勇気を振り絞ってメールを開封する。


そんな話を路子先生にしたら、 
「私なんていつもそう。書き上げた本の原稿を、書いたとたんに全部破りたくなる」

そしてこうも言ってくれた。
「そういう気持を持つってことは、ものを書く資格があるってことよ。
『よし、今回もいいものが書けた!』なんて言ってる人に限って、ぜんぜんダメだったりするもの。」

こういうとき、路子先生は、ひとの気分をあげる天才だとおもう。
へしゃげたタイヤみたいだった自分に、空気が入ってくるのがわかる。

帰るころには(おいしいお菓子も頂いたので)、エネルギーでいっぱいになって、
自転車での30分の帰り道を、思いっきり飛ばして帰った。

そして、帰ったらすぐに次の原稿に取りかかった。


写真は、年明けにいった秋田で買ってきた「Patisserie STOVE」のCDチョコ。
路子先生をイメージして選んだ、アールデコ風のもの。

ちなみに今週はじめに送った原稿に対する編集者さんの返答は、 
「原稿おもしろかったです……(細かい指摘がつづく)」

おもしろかった、と書いてくれたのははじめてだと気づき、すごく嬉しかった。