ジキルの靴

きもの

今年の3月3日に33才になった記念に、京都の三十三間堂を訪れた。
33,33,33とぞろ目を揃えたかったからである(3時33分に意識を集中するのは失念)。

珍しく1001体の観音像が揃っている期間。居並ぶ像はたしかに圧巻なのだが、ちょっと見てると飽きてくる。多すぎて、自分と似ている顔も見つけられない。まるで観音界のAKBのよう。どういう基準で、センターにいる観音様は選ばれたのか、総選挙で入れ替わることもあるのだろうか。1001人もいればさらに競争率は高いだろうに……。というか地震でドミノみたいに倒れたら大変だ!なんて考えてたら、いつの間にか通り過ぎていた。

そんなことはどうでも良くって、京都に行った最大の目的といえば。
祗園ない藤で草履を誂えること。ゾロ目記念の誕生日プレゼント。

祗園ない藤は、創業1875年の5代続く履物屋さん。 
こちらで草履を誂えるのは、着物をきるようになってからの憧れだった。 
価格もいい値段する。いわば和装界のマノロブラニクといったところか。

ただでさえ京の老舗の個人商店というのは敷居が高い印象で、それこそ「ぶぶ漬け」を勧められたらどうしよう、なんて思ってしまう。

そんなわけで、とても緊張して伺った。 
(もちろん電話にて事前予約は必須)


店内には、たくさんの種類の履物、鼻緒が並び、見ているだけでうっとり。ハイヒールに浮気してすみません、と思いながら、日本の履物の良さにしみじみと感じ入る。  
さてさて注文しなくては。


お茶やお菓子など出してもらいながら、お願いしたい草履のご相談。 
はじめてということもあり、凝ったものよりも、シンプルだからこそ美しさが際立つものをお願いすることにした。

台と鼻緒を選んだあとは、採寸。素足を殿方に見せるのはちょっと恥ずかしいけど我慢。自分の足にぴったりに誂えてくれるのだから。採寸はかなり細かい。記入票をチラと盗み見たら、自分の足の形が「ギリシャ型」ということだけは分かった。

出来上がりは約2ヶ月後ということで、出来上がりを楽しみにお店を後にし、夕食へ。

(夜は「木山」さん。定期的に伺いたい大好きなお店。)

そして約2ヶ月後。待ちに待ったお届けもの。




(フットにフィット 先ずは調子をご確認)
あ、意外とノリが軽い……祗園。


鼻緒の裏は、好きな紫。
無駄なところが一つもない研ぎ澄まされた美しさが、私好み。 
この靴は、どんな素敵な所へ連れていってくれるんだろうか。


さいきん知人に「ジキルとハイドみたい」と言われ、それについて時折考えている。

この草履を履くのは、表向きの顔のとき。 
だからジキルの靴。

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