カリスマ講師直伝「教え方の極意」

食・ワイン

人に何かを教えることは、仕事でもプライベートでも必要不可欠ですが、なかなかうまく伝わらず悩むことも多いはず。そんな「教え方」について、ヒントを頂く機会がありました。

参加したのは、働く女性に役立つ情報サイト「Cafeglobe」主催のカフェグローブマネジメント講座 Vol.1「教え方の極意」。 
ワインのレクチャー付きとのことでしたが、ワインセミナーではなく、”教え方とワイン”がメインテーマという点にますます惹かれました。

今回の講師は理論物理学博士/ソムリエールという異例の肩書きをもつ杉山明日香さん。書店のワインコーナーに行くと『受験のプロに教わる ソムリエ試験対策問題集』はじめワイン書籍を多数出版されており、私も知らぬ間にご著書を拝読しておりました。

杉山さんは、有名予備校で東大進学クラスや医学部進学クラスを受け持つカリスマ数学講師でもあります。聞けば中学生の頃から教えるのが大好きで、近所の子を集めて(というより自然に集まる)”プチ明日香塾”を開くところから始まり、家庭教師時代には教える端から生徒の成績が伸び評判に。「教えるのは天職」と本業にし、数学講師歴15年という、まさに「教え方」のプロなのです。現在は予備校講師のほか、ワインスクール、ワイン輸入事業やパリでの外食事業など会社をいくつも経営しながら活躍されています。

数学とワイン。一見関連性のないようにみえる2つの共通点は、「人にものを教える」こと。前半ではカフェグローブ編集長・遠藤祐子さんのナビゲートにより「人にものを教える」技術についてお話を伺いました。


杉山さんはまず、教える前の準備段階で大事なポイントをいくつか教えてくれました。 
そのひとつが、相手の目を見て話すこと。
「そんなの、当たり前でしょう!」という声が返ってきそうですが、小さい頃から大事といわれつつ、実際出来ている人は意外と少ないですよね。控えめな日本人としては、相手の目を見据えるのは、なんとなく気恥ずかしい。杉山先生は有言実行の方で、レクチャーの途中何度も目力光線が飛んできました(おおぜいのセミナーですらそう感じるのだから、マンツーマンだったら、どうなるのだろう……)。

私が楽しみにしていたのは、カリスマ講師としてのトーク。人の話を集中して聞けるのはせいぜい15〜20分程度、と聞いた事がありますが、杉山さんのトークはリズムとメリハリがあり人を飽きさせず流暢です。それでいて親しみやすく、笑いの絶えない講座でした。

気づいたのは、セミナー中、レジュメを見て話していなかったこと。 
「資料を見て話すと人には伝わりづらい。当日はアドリブです」という先生は、準備段階で話したいポイントを箇条書きにしておき、内容は事前に頭にたたきこんでおくそう。 
私の場合、自分がメインで話す機会があれば入念に準備をして時間も計って練習するタイプなのですが、それゆえに淡々と話してしまうことが悩みでもありました。入念な準備と当日のアドリブが独特の白熱した空気を生む秘訣だったのです。


(立った方が落ち着くので……とスタンディングスタイルに)

第二部では実際にワインを飲みながら、お楽しみのワインについてレクチャーして頂きました。
テイスティングしたワインは、日本ワイン2種類。白は甲州、赤はマスカット・ベリーAという、日本ワインでまず押さえておくべき二大品種です。 
「外国のシトラスではなく日本の和柑橘と例えるのがふさわしい」(杉山さん)という甲州の白ワインは、わさびや醤油とともにシンプルに頂く刺身とも相性ばっちりといいます。澱の上で寝かせている(シュール・リー製法)ため、澱からの旨味が和食のだしの旨味とよくマッチする、と経験を交えてのマリアージュ論は説得力抜群。 
マスカット・ベリーAの赤ワインは、肉じゃがや焼き鳥、豚の味噌漬けなど、甘辛系の味わいの日本の家庭料理とおすすめとのこと。


シャトー・メルシャンのこちらのワインは何度か頂いたことがありますが、教え方のプロにわかりやすく説明してもらうと、印象の残り方が違います。
この日は「マスカット・ベリーAのワインをはじめて飲む人は?」という質問に対し、参加者の半分以上が挙手。杉山さんの軽快かつわかりやすいトークで、日本ワインについていいイメージを持った方も多いはず。

最後にもうひとつご紹介したいエピソードは、生徒にわからないことを聞かれたときはどうするか、というお話。わかったふりをしてごまかして答えるというのは、何となく伝わるものだし、信用を失う原因に。それより、「ごめん、今すぐ答えられないから、ちょっと整理してから回答するね」と素直にいったほうがよい、というお話がとても印象的でした。

これって、実は根深い問題。
どうしてわかったふりかをするといえば、わかっていると思われたいから。日本人はセミナーなどでも圧倒的に質問率が少ないですが、これは質問するのが恥ずかしい(変な質問をして「馬鹿なヤツ」と思われたくない)という理由が圧倒的だと思います(そして授業終了後に、個人的に聞く人が多い)。 
他人の視線を気にする日本人の国民性が、ビジネスにおいてはマイナスにつながる……自分も陥りがちなだけに、恥をかいてでも治す努力をせねば、と思ったのでした。たくさんの刺激を頂いたセミナーでした。

 

●今回の講座の公式レポートはこちらから→「教え方」のコツは相手を知ること。ワインを通してカリスマ講師が伝授。
●杉山先生のインタビューについてはこちらがわかりやすいです→受験もソムリエ試験も受かってしょうがない。人気講師の教え方

 

最後にプロのカメラマンに実物以上にステキに写真を取って頂いたので、載せちゃいます。Cafeglobeさま、ありがとうございました。



(撮影/YUKO CHIBA カフェグローブ記事からの転載)

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