断食して、読書に耽る

断食修行@成田山へ今回持っていった本は6冊。

1.独り居の日記 メイ・サートン
2.トリエステの坂道 須賀敦子
3.塩一トンの読書 須賀敦子
4.孤独の発明 ポール・オースター
5.聖なる酔っ払いの伝説 ヨーゼフ・ロート
6.うっかり人生が過ぎてしまいそうなあなたへ 山口路子

須賀さんの文章は静的で美しい。  本人の人となりが文章に現れているかのような、知的で穏やかな語り口。
数十年前の話でも、さながら今見てきたかのような描写。
劇的なドラマ性やストーリーはないけれど、素晴らしい感性と文章力で日常を綴った作品。
こういう本は、一気に読むというよりは少しずつ楽しむのが良いかもしれない。

「独り居の日記」にも鋭い感性が光る。自分自身に語りかけるように、静かに、それでいて深く日常や思想を綴っている。
気鬱がある著書らしいが、こんなに深く物事を考えていたらそれは気もやむだろうよ……と思ってしまった。

「孤独の発明」は、尊敬する上司におススメしてもらった本。
若干読みにくい。
やや冗長とも言える表現、一つのテーマを色々な角度から深く掘り下げるその表現力と発想には驚くが……
第二部の「記憶の書」では、抽象的な表現が多く、哲学的ですらある。
お腹が空いている私には、少々読み進めるのがつらかった。しかし言葉は美しい。
これも「静」な本。

「聖なる酔っ払いの伝説」は読書家である知人おススメの本。

この6冊の中では一番サクサクと読み進めることができた。
だからといって単純なストーリーではなく、最後の結末に含みを持たせるのが心憎い(悪くいうと、スッキリしない終わり方)
全部で5編の短編がおさめられているが、すべて人間臭い物語。

特に「聖なる酔っ払いの伝説」の主人公の、愛すべき駄目加減(お金を手に入れたらすぐ飲んでしまう)!人の好さ(お金ものないのに人におごってしまう)、それでいて受けた恩は返すという義理堅さ。

パリの橋の下で暮らしていた主人公が一人の紳士から200フランをもらうという事柄から彼の身の回りに連鎖的に不思議な事柄がおこり、物語が展開していくのだが……その様子はまさに「因縁」を象徴しているかのように思えた。
何かのきっかけで、人の人生は変わりうる。
ま、このストーリーの最後も切ないのですがね。

私の大切な本「うっかり人生が過ぎてしまいそうなあなたへ」は別途。

(2013-11-03)