予約したレストランを昼夜行脚した初年度から、超ゆる旅へと進化(?)してきた我が家のバスク旅行において、唯一日本から予約して出かけたのが、ふたりの大好きなレストランAsador Etxebarri(アサドール・エチェバリ)。片道十何時間かけても、何度でも通いたくなるお店だ。
今年のThe World’s 50 Best Restaurantsでは3位(2018: 10位、2017: 6位)、昨年アワードがビルバオで開催され、多くの評議員が食べに行ったことを考慮しても、このバスクの山奥のレストランが世界3位というのは、しみじみすごいことだと改めて思う。
それも、シェフのBittor(Victorと表記されることが多いが、生まれた時の名前はBittorとのこと)がはじめた当初は、いわゆる町の食堂で、1日300人くらい回転させていたこともあったと聞く。約30年でBittorが成し遂げたことの大きさに驚くばかり。今では、ここで食事するために世界中から人が集まる、いわば旅の目的地となっている。
嬉しくてにこにこ。
いつもどおり、お店の方に温かく迎えてもらって、のどかなバスクの山々を眺めながら食事をしていると、心が穏やかになる。居心地がいい。
いつ食べても感動するPalamósの海老、毎年進化しているtuna & tomato。もちろん何を食べてもおいしいのだけれど、今回特に感動したのは、マテ貝と海鼠! 貝も海鼠(食わず嫌いだった)も得意じゃなかったのに。
どのお皿にも共通する、洗練された引き算的な美しさが好み。
(着物はお魚柄。お皿の色とリンクして1人で嬉しくなる)
Etxebarriのワインのセレクションも好き。ペアリングも素敵だけど、今まで来た四回のうちペアリングは一度しか頼んだことがない。ここは、ボトルワインをシェアするのが似合うレストランだと個人的に思う。
エチェバリでいつも頼むコース(Tasting Menu)は、料理の最後に来るチュレタはたしかにハイライトではあるのだが、その前まで魚介のメニューも多く、実は一本通すなら白の方が万能な気がして、「今日のメニュー構成に合う、スペインの白。我々はエレガントなワインが好きなので、クリスピーな酸がある感じがよいな」と言うと、何本かおすすめしてくれたなかでグッと来たのがこちら。
Domaine Arretxea Irouléguy “Grès”
フランスバスクのイルレギーのワイン。このあたりの地方、個人的にも注目しているので嬉しい。プティ・マンサンなどのブレンド。デキャンタして、大きなグラスで出してくれた。 色は黄金〜ややオレンジがかっていて、ほどよいボリューム感。すりおろしたリンゴ、トロピカルフルーツ。たっぷりとしているが、きれいな酸がボディを引き締めている。のびのびとしたワイン。 何より軽い肉までいける万能さ、こういうワインに、適したタイミングで出会うと嬉しくなってしまう。
メインのチュレタ。
チュレタには白はさすがに厳しいので、別で赤ワインを一杯。 「クラシック?ニューワールド?ファンキー?」と聞かれて、クラシックを選択すると、リオハのやや熟成したワインを出してくれた。
MIGUEL MERINO GRAN RESERVA 2012
テンプラニーリョ96%、グラシアーノ4%。標高550mの畑に植わった樹齢60-70年のブドウから、いい年にのみ造られるGran reserva。
一杯をしみじみ飲みたい、エレガントなリオハアルタのワインにうっとり。
13時からスタートして、テラスでゆったりしてるとだいたい17時くらいになる。 食事をして、レストランからすぐ近くのお友達の家に数泊させてもらうのが旅のハイライトだ。
外は肌寒いけど家の中は暖炉が燃えてて暖かくて、おいしい食べ物とワインがあって、家族や友達がいること。シンプルだけど、すごくありがたい。何もいうことない。
今年も来れてよかった。
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