タンゴの女神降臨

「タンゴの女神、伝説的存在」と名高い著名ダンサー、アレハンドラ・マンティニャンが10年ぶりに来日中。マエストロを生で拝めるいい機会なので、ワークショップを2コマ受けてきました。
 
(Effect Tango HPより)
 
プログラムのなかから選んだのは、「床とのコネクション」と「タンゴの軸」。踊るうえでの根底の部分でもあり、いまの自分に必要な内容だと思ったから。
 

ヒーロやボレオなどの技を学ぶよりは基礎的なクラスかなと思ったらとんでもなかった。

エネルギーの均衡についてだったり、もの(身体)の動きの原理を分解して教えてもらっている感覚に、どこか懐かしさを覚える……そうだ、物理の授業を受けているような気分だ!
 右足の次は自然と左足が出るように、きっとマエストロにとってはシンプルなことなんだろう、
でも頭が混乱して消化できない。
「自分ができない」という事実をこれでもかと突きつけられた。
 
2レッスン受けたら、帰る頃には疲労困憊で、食欲すらなくなるレベル。。
ずっとおなか引っ込めてるから腰も痛い(苦笑)。
 
(あっでもここのバインミー美味しかった@バインミーシンチャオ
 
とはいえ、落ちこむばかりではなかった。できないのは当たり前だし、WSに参加した目的は、内容を完全にマスターすることではないから。
 
前日、私の先生に「WSに参加してきます」と伝えたら、「表面的な内容ばかりに気を取られないで、彼女のいわんとする本質や動きを見てて」というアドバイスを頂いた。
だから、アレハンドラの一挙一動を目に焼き付けるようにして、見た。
 
とにかく生命力の塊のような人。身体の内側から発光しているような艶、生命のエネルギーが溢れてた。ノーメイクでラフなレッスン着姿だけど、立っているだけで目を奪われる。顔貌の美しさというよりは、そこで息をしている、その存在そのものが輝いている。
 
「タンゴを教えることが自分の使命」というような熱心な指導にも心を打たれた。20人くらいのWSなのに、できる限りひとりひとり丁寧に見ようとしてくれた。
 
参加者をピックアップして実演させるんだけど、そのときに出来ないと、「ノー!」とぴしり。熱血で、ダメなところは容赦なく指摘される(かなり怖い)。
「同じタンゴを愛する者として、なんとか何か学び取って帰ってほしい」という気持ちが伝わってくる。このようなWSに参加したのが初めてだから比較できないけど、まさに「タンゴの伝道師」とは彼女みたいな人のことをいうんだろうと思った。
 
2コマのレッスンを通して印象に残った言葉が3つ。
 
1. 「タンゴはパートナーとのコネクション。でも、自分のことをコントロールできなかったら、コネクションを築くことはできない」。
ほんとうにそうだなーーー、とこの1年で感じている。フィジカル面だけでなく、精神面も。
情緒不安定なときは踊れない。相手とも向き合えないし、心を閉じていればコネクションを築くことなんて無理。だからタンゴを踊ることは、自分の内面と向き合うことでもある(ときどき、結構辛い)。
 
2. 自分が確固たる「マエストロ」でいること
自分が床や相手とのコネクションを大切にしようとしても、女性を持ち上げて踊るようなリーダーだったり、パートナーによってはうまく行かないこともある。そういう場合も相手に合わせてしまうのではなく、自分のスタイルを通すことによって、「あなたは間違っているんですよ」と相手に踊りで伝えることが大事。
 
3. 最後に、「せっかく踊るなら、ダンサーとしての自分を輝かせられるように、自分の動きをコントロールできるようになってほしい」ということ。
歩くにしても、ペタペタ歩いたり、お腹を突き出して歩いたりするのは、ダンサーとしての自分を殺すようなもの(カッコ悪い歩き方を実演しながら)。
だから自分をコントロールできるようにすることが大事なのだ、と。
(この話をしているときに、Effect Tangoのちづこ先生が涙するハプニングも)。
 
実際、生アレハンドラは、一人で歩く姿も、組んで動く姿もとんでもなく美しい。体の使い方を数センチ単位でコントロールしているから、あんなに美しく動くことができるのか……とショックを受けた。
 
凡人には無理。マエストロは8歳から踊っているし(=タンゴ歴45年)、才能があるからスタートからして違う、と諦めてしまうのは楽。
自分は「楽しく」踊れればいいや、ってね。
 
でもせっかく踊るなら自分を輝かせるような踊り方をしたい。私は。
マエストロも、趣味で踊る人も、同じタンゴを愛する「いち踊り手」という意味では、同じだと思うから。
 
(タンゴDAY114)